2025年現在も、伝統工芸としての価値が見直されており、状態の良い正絹の着物や作家物、証紙付きの紬などは高値で取引されています。
この記事では、最新の着物買取事情と買取相場をわかりやすく解説し、少しでも高く売るためのポイントも紹介します。
「手放すなら今がチャンス？」と迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

2025年の着物買取市場の動向

2025年の着物買取市場は、ここ数年で大きな変化を見せています。
かつては「着物離れ」と言われる時代もありましたが、いま再び着物の価値が見直される時代に突入しています。

特にリユース（再利用）やサステナブルの意識が高まる中で、「古い着物にも新しい価値を見出す」という動きが全国的に広がっています。

● リユース需要の拡大と“着物ブーム”の再燃

2020年代半ばに入り、フリマアプリやリユースショップを通じて着物を日常的に楽しむ人が増えています。
「親や祖母の着物を自分流にリメイクして着る」「洋服感覚で楽しむ」といった若年層の文化的な広がりが見られ、中古着物の需要が安定して高い状態が続いています。

また、InstagramやTikTokなどのSNSでは「#アンティーク着物」「#着物コーデ」といったハッシュタグ投稿が急増し、京都や東京のレンタル着物店でも、あえて古い柄を選ぶ若者が増加中です。
その影響で、昔ながらの正絹の着物や古典柄が“懐かしくも新しい”ファッションとして注目され、買取価格も上昇傾向にあります。

● 海外バイヤーの注目と輸出市場の拡大

もう一つ見逃せないのが、海外での着物人気です。
特に2023年以降、欧米やアジア圏では「KIMONO」「JAPANESE TEXTILE」というキーワードがファッション業界で注目され、和柄の帯や生地をリメイクしたドレスやバッグが数多く登場しました。

この流れにより、日本国内の買取業者の多くが海外向け輸出ルートを確保しており、以前よりも高額で取引されるケースが増えています。
海外バイヤーは、「一点物」「手仕事」「自然素材」といった価値観を重視する傾向があるため、大量生産ではない昔の手織りや手染めの着物に特に高い評価をつける傾向があります。

そのため、国内需要が低下している種類でも、海外では高値で取引される可能性があるのが2025年市場の特徴です。

● 若年層を中心にリメイク需要が加速

さらに注目すべきは、着物を再利用して新しい形に生まれ変わらせる“アップサイクル文化”の広がりです。
たとえば、古い小紋や紬をバッグやシャツにリメイクするブランドが増え、ファッションとしての再利用価値が高まっています。
このような背景から、色柄の美しい着物や素材の良い正絹の反物は、リメイク用としても人気を集めており、状態次第では予想以上の査定額がつくケースも珍しくありません。

また、和裁士や作家が一枚ずつ丁寧に仕立てた作品は、たとえ着用されなくても「アートピース」として扱われることもあり、骨董市場でも需要が高まっています。

● 買取相場が上がっているカテゴリーとは？

2025年の買取市場では、以下のようなカテゴリーが特に注目されています。

• 大島紬・結城紬・牛首紬などの伝統工芸指定品
  　→ 産地証紙が付いているものは数万円以上の査定になるケースも。

• 作家物・人間国宝監修の着物
  　→ 特定の落款や証紙があると、美術品として扱われることも。

• 振袖・訪問着など晴れ着用途の着物
  　→ 成人式・結婚式需要でレンタル業者からの買取依頼が増加中。

• アンティーク着物・ヴィンテージ帯
  　→ 海外人気により、古いデザインでも希少価値が評価される。

一方で、ポリエステル素材や量産タイプの着物は、1,000円以下の査定となる場合も多く、素材や仕立ての違いが価格に直結しています。

● 着物市場の今後の見通し

今後も、着物のリユース市場は「文化×サステナブル」という文脈でさらに拡大していくと予想されます。
国内では高齢化による大量放出が進む一方で、海外では和文化への関心が高まり、供給と需要のバランスが取れる時代に入っています。

つまり、2025年以降は「安くなる」と言われた時代から、「正しく査定される」時代へと変化しているのです。
価値ある着物を持っている方にとっては、まさに売却の好タイミングといえるでしょう。

次の項目では、こうした市場背景を踏まえつつ、実際に高く売れる着物の特徴について具体的に解説していきます。

高く売れる着物の特徴

着物の買取価格は、種類や状態によって大きく変わります。
同じ「訪問着」でも数百円〜数万円と差が出るのは、素材・作家・産地・保存状態など、査定の評価ポイントが複雑に絡んでいるためです。
ここでは、2025年の市場で特に高値がつきやすい着物の特徴を詳しく解説します。

● 1. 証紙付き・産地や作家が明確な着物

まず最も重要なのが、証紙の有無です。
証紙とは、着物の織元や染元が「この商品は本物です」と証明するための紙で、帯や反物に付属しています。
特に「結城紬」「大島紬」「牛首紬」「久米島紬」などの伝統工芸品は、証紙があることで真贋の判断が容易になり、査定額が数倍に跳ね上がることもあります。

また、証紙がなくても「落款（らっかん）」や「作家名」「産地の織印」が確認できる場合は、十分に価値が認められます。
近年では、人間国宝・伝統工芸士の作品が再注目されており、状態が良ければ数十万円の査定になるケースも珍しくありません。

● 2. 素材が正絹（シルク）であること

素材も査定額を大きく左右する要素の一つです。
着物の中でも最も価値が高いのは、天然素材である「正絹（しょうけん）」。
絹は軽くて滑らか、光沢があり、通気性にも優れているため、現在でも高級素材として扱われています。

一方で、ポリエステルやウール、化繊の着物はリユース市場での需要が低く、買取価格は数百円〜1,000円程度が一般的です。
ただし、正絹でも保存状態が悪いと評価が下がるため、保管環境やシミ・カビの有無も重要なチェックポイントとなります。

● 3. 状態が良好であること（未使用・美品）

どんなに高級な着物でも、シミ・ヤケ・カビ・臭いがあると査定額は大幅に下がります。
2025年現在、リユース市場では「未使用」「一度着用のみ」「新品同様」の着物が最も需要が高く、特にたとう紙に入れて保管されていたものは高評価を受けやすい傾向にあります。

保管状態を良くするためには、

• 湿気を避けた風通しの良い場所に収納する

• 定期的に虫干しを行う

• 着用後は専門業者によるクリーニングを依頼する
  などの工夫が大切です。

また、サイズ感もポイント。現在の標準体型に近い身丈・裄丈の着物は需要が高く、古い寸法（小さめサイズ）のものよりも査定額が上がる傾向にあります。

● 4. トレンド性・人気の色柄

「着物にもトレンドがあるの？」と驚かれる方も多いですが、実はあります。
2025年の買取市場では、落ち着いた色味・淡いトーン・古典柄モダンミックスのデザインが人気です。
とくに若年層の間では「くすみカラー」や「レトロモダン柄」が再評価されており、昭和中期〜後期の古典柄が高値で取引されることも増えています。

また、成人式や結婚式のレンタル需要が高いため、振袖・訪問着・色留袖などのフォーマル着物は依然として安定した人気があります。
反対に、喪服や無地の紬は需要が限られており、買取額が低くなりがちです。

● 5. 帯や小物のセット査定で価値アップ

単品よりも、帯や帯揚げ・帯締めなどの小物がセットになっている方が高く売れる傾向があります。
特に「西陣織」「川島織物」「龍村美術織物」などの帯は単体でも数万円の査定がつくこともあり、着物と合わせて査定に出すことで全体の評価が上がります。

また、帯留めや草履、バッグなど、同系統のコーディネート品をまとめて出すと、業者側も販売しやすいため買取額が上乗せされるケースがあります。
査定時には必ず「まとめて査定してもらう」ことを意識すると良いでしょう。

● 6. リメイク需要が高い着物

近年注目を集めているのが、リメイク・アップサイクル向けの着物です。
柄の美しいアンティーク着物や、個性的な色使いの紬などは、ドレスやバッグ、インテリア生地として海外でも高く取引されています。
特に「正絹・総柄・手染め」などの条件を満たすものは、たとえ状態が多少悪くてもリメイク素材としての価値が認められ、意外な高額査定につながることもあります。

● 7. “価値のある着物”とは、手仕事と状態がすべて

高く売れる着物の条件を一言でまとめるなら、
「手仕事＋良い状態＋証紙」の三拍子がそろったものです。

逆に、ブランド名や高級素材でも、カビやシミがあると価値は半減します。
2025年の市場では、単に古いか新しいかではなく、「文化的価値」「織りの精巧さ」「保存状態」が重視されているのが大きな特徴です。

「古いけど捨てるのはもったいない」と思ったら、まずは専門業者に査定を依頼してみましょう。
予想以上の価格がつくこともあります。

種類別の買取相場（2025年最新版）

着物の買取相場は、種類・素材・需要によって大きく異なります。
2025年現在、リユース市場では「フォーマル着物」「伝統工芸品」「作家物」「アンティーク着物」に人気が集まり、価格の幅も以前より明確になってきました。
ここでは、主要な種類ごとに最新の買取相場と、査定で重視されるポイントを詳しく紹介します。

● 訪問着の買取相場

訪問着は、華やかさと上品さを兼ね備えた人気の高い着物です。
結婚式や入学式などのフォーマルシーンに用いられるため、リユース市場でも安定した需要があります。

※加賀友禅・京友禅・東京友禅などのブランド訪問着は高値傾向。
金彩や刺繍が入ったものはさらに上乗せされます。

● 留袖（黒留袖・色留袖）の買取相場

黒留袖や色留袖は、親族の式典や慶事で使われる第一礼装です。
ただし、使用機会が限られるため中古市場ではやや需要が落ち着いています。

黒留袖は冠婚葬祭専用のため需要が狭く、保存状態や柄の豪華さが価格を左右します。
一方で、色留袖は柔らかい印象で着用機会が多く、2025年も安定した相場を維持しています。

● 振袖の買取相場

成人式や結婚式で使用される振袖は、近年の「レンタルから購入・再利用へ」という流れにより、買取市場でも注目度が高まっています。

また、近年は「ママ振り（母の振袖を娘が着る）」文化が定着し、古典柄の需要が再上昇中。
成人式を意識した買取需要は毎年秋〜冬にピークを迎えます。

● 紬・小紋・付け下げの買取相場

日常使いや街着として人気のある紬や小紋は、作家・産地・素材によって価格差が非常に大きいのが特徴です。

特に「証紙」「落款」「産地名」が確認できる紬は高額査定の対象。
一方、ウールや化繊の小紋は数百円〜千円台と、素材の違いが大きく影響します。

● 帯（袋帯・名古屋帯）の買取相場

着物とセットで査定されることが多い帯も、2025年は単体での買取需要が拡大しています。
特に「西陣織」「川島織物」「龍村美術織物」などの有名織元は、状態が良ければ高値で取引されます。

なお、帯は「金銀糸の使用量」や「織りの緻密さ」によっても評価が変わるため、専門業者に見てもらうことが大切です。

● 作家物・伝統工芸指定品の相場

人間国宝級や伝統工芸士の作品は、2025年も別格の人気を誇ります。
特に以下のような着物・帯は、美術品として扱われることも多く、買取価格が安定しています。

作品の希少性や共箱・証紙の有無によっては、オークションで取引されるケースもあります。
保管状態が良ければ、数十年前の作品でも十分高価買取の対象になります。

● 2025年の相場は「ブランド・証紙・状態」で決まる

2025年の着物買取市場では、ブランド・証紙・状態の3つが価格を左右する最重要ポイントです。
一見同じように見える着物でも、証紙があるかないかで数万円の差が出ることもあります。
また、海外需要の高まりにより、古典柄やアンティーク帯が再評価される傾向にあります。

「どんな着物が高く売れるのか？」を見極めるには、まず自分の着物の種類と特徴を把握することが第一歩。
次章では、買取価格が下がるケースと注意点を詳しく解説します。

買取価格が下がるケースと注意点

どんなに高価な着物でも、状態や保管方法によっては査定額が大きく下がってしまいます。
2025年の着物市場は「価値が正しく評価される時代」へと進化していますが、それでもちょっとしたダメージや管理不足が価格を左右するのは事実です。
ここでは、買取価格が下がる代表的なケースと、その対策・注意点を詳しく解説します。

● 1. シミ・カビ・ヤケ・虫食いなどのダメージ

着物の査定で最も影響が大きいのが「状態の悪さ」です。
絹素材（正絹）は湿気や光に非常に弱く、長期保管で発生しやすいトラブルが次の4つです。

• シミ・黄ばみ
  汗や皮脂が酸化して発生。特に襟元・袖口に多い。

• カビ・変色
  湿気や通気不足によるもの。においが残る場合も減額対象。

• ヤケ（色あせ）
  日光や蛍光灯の光による退色。肩や裾部分に現れやすい。

• 虫食い・繊維の弱り
  防虫剤不足や長期放置によって発生。

このようなダメージがあると、どんなブランド着物でも数千円以下の査定になることがあります。
特に白地や淡い色の訪問着・振袖は汚れが目立ちやすいため、査定前に軽く風を通す・汚れを確認するなどのケアが有効です。

● 2. 証紙・付属品がない

証紙や箱、たとう紙などの付属品は、着物の“身分証明書”のようなものです。
これがない場合、「本物かどうか」「産地がどこか」を判別しにくくなり、査定員が慎重になるため、価格が下がりやすくなります。

特に、大島紬・結城紬・牛首紬などの伝統工芸品は証紙があるかどうかで数万円の差が出ることも。
「証紙をなくしてしまった」という方も、織りや柄の特徴から判別できる場合があるため、専門業者に相談することが重要です。

また、帯や小物などのセット商品は、購入時の箱やタグがあるだけで印象が良くなり、査定時のプラス評価につながります。

● 3. サイズが合わない・古い仕立ての着物

着物の価値はデザインや産地だけでなく、「現在の体型に合うサイズかどうか」も大きく関係します。
昔の着物は全体的に丈が短く、裄（ゆき）も狭いため、現代女性が着るには小さすぎるケースが多いのです。

標準体型に合わないサイズの着物は、再販やレンタルが難しく、査定額が下がる傾向にあります。
ただし、リメイクやアンティーク用途として評価される場合もあるため、素材や柄が美しい場合は諦めずに査定に出すことをおすすめします。

● 4. 買取時期が悪い（季節や需要の影響）

着物は「季節商品」としての一面もあり、需要の時期に合わせて売ることが高価買取のコツです。

• 春〜夏前
  浴衣・夏着物・薄物が高値

• 秋〜冬前
  振袖・訪問着・留袖の需要が上昇

• 年末年始前後
  レンタル業者・海外業者の仕入れ期で全体的に高騰

たとえば、成人式直前の12月〜1月は振袖の買取が増えますが、春先には一時的に相場が下がることもあります。
同様に、夏帯や絽・紗などの薄物は、シーズン前（4〜6月）に出す方が有利です。
市場の流れを見て「売るタイミングをずらす」のも重要な戦略です。

● 5. 大量持ち込みでの査定

「まとめて査定してもらえば高くなるのでは？」と思われがちですが、実は注意が必要です。
業者によっては、点数が多い場合に1点あたりの査定時間を短縮するため、簡易査定になってしまうことがあります。
その結果、価値ある着物が“まとめ査定”の中で埋もれてしまい、結果的に全体の価格が下がるケースも。

特に、作家物や証紙付きの着物が混ざっている場合は、事前に「これは個別査定してください」と伝えることが大切です。
また、量が多い場合は出張買取や事前査定サービスを利用すると安心です。

● 6. リユース市場に合わないデザイン・素材

2025年の市場では、トレンドや需要の変化によって「売れにくい着物」も存在します。
たとえば、以下のようなタイプは査定が低くなりやすい傾向があります。

• 喪服（黒無地）や無地染め小紋

• 化繊・ウール・洗える着物

• 名前入り・家紋入りのもの

• 量産型（既製品・大量生産タイプ）

これらはリユース販売やレンタルには不向きで、1点あたり数百円〜1,000円前後の査定になることが多いです。
ただし、アンティークショップや海外リメイク需要では別の価値が生まれることもあるため、専門業者を選ぶことが大切です。

● 7. “査定前のひと手間”が価格を変える

買取価格を下げないための最大のポイントは、「状態を整えてから査定に出す」こと。
たとう紙に入れて形を整え、軽く風通しをするだけでも印象が変わります。

また、証紙や付属品をまとめておく、買取時期を見極めるなど、ほんの少しの工夫が数千円〜数万円の差を生むこともあります。
「古いから価値がない」と決めつけず、専門業者に丁寧に見てもらうことで、本来の価値を取り戻せるでしょう。

高価買取を狙うためのコツ

せっかく大切な着物を手放すなら、少しでも高く買い取ってもらいたい——。
そう感じる方は多いでしょう。
実は、査定価格を左右するのは「運」ではなく、ちょっとした準備と戦略です。
ここでは、2025年の着物買取市場で高価買取を実現するための具体的なポイントを紹介します。

● 1. 複数業者に見積もりを依頼する

最も重要なのは、1社だけで即決しないこと。
着物の査定基準は業者によって異なり、得意な分野や販売ルートも違います。
たとえば、A社は「作家物」に強く、B社は「アンティーク輸出」に特化しているなど、それぞれ得意ジャンルがあります。

そのため、同じ着物でも業者を変えるだけで査定額が数万円違うことも珍しくありません。
3社ほどの見積もりを比較すると、相場感がつかめるうえ、他社の査定額を交渉材料にできるため効果的です。

【ポイント】

• 出張買取・宅配買取を併用して比較

• 査定料・キャンセル料が無料の業者を選ぶ

• 「相見積もりOK」と明記している業者は交渉に前向き

● 2. 売るタイミングを見極める

着物は季節やイベントによって相場が変動します。
2025年の市場では、次のような時期に需要が高まります。

• 1〜3月
  成人式・卒業式シーズン → 振袖・訪問着が高騰

• 4〜6月
  夏物（絽・紗・浴衣）需要が上昇

• 9〜11月
  秋の結婚式・七五三 → 留袖・訪問着・帯が人気

• 12月
  年末整理・海外業者の仕入れ期

このように、需要のピークに合わせて査定依頼を出すことが高価買取の基本です。
「忙しいから後で」と後回しにしている間に、シーズンが過ぎて相場が下がることもあるので注意しましょう。

● 3. 査定前に“見た目の印象”を整える

査定員がまず確認するのは、広げたときの「印象」です。
高級な着物でも、シワや折れが目立っていると査定の第一印象が悪くなります。
査定前にできるだけ以下のポイントを意識しましょう。

• たとう紙に入れて整え、シワを軽く伸ばす

• 防虫剤のにおいが強い場合は、風通しの良い場所で陰干し

• 帯や小物も一緒に揃えてセット査定に出す

• 証紙・落款・購入時の箱や袋を一緒に添える

この“ひと手間”で、同じ品でも数千円〜数万円の差が出ることがあります。

● 4. 信頼できる「専門業者」を選ぶ

近年、インターネットを中心に多くの買取業者が存在しますが、
中には着物の知識が浅く、正しい査定ができない業者も存在します。

選ぶ際のポイントは以下の通りです。

• 着物専門、または骨董・美術品にも精通している

• 公式サイトに「査定実績」や「得意ジャンル」が記載されている

• 査定士の顔や資格が公開されている

• 出張・宅配・店頭の3種類の買取方法が選べる

特に、作家物・伝統工芸指定品・古布などを扱う場合は、リユース業者よりも専門査定ができる着物買取専門店を選ぶのがベストです。

「査定は無料」「キャンセルもOK」など、利用者に安心感を与えるサービスを提供している会社を選ぶとトラブルも防げます。

● 5. 帯や小物も一緒に査定に出す

帯・帯締め・帯揚げなどをセットで出すと、コーディネート販売がしやすくなるため、買取額が上乗せされる傾向があります。
特に「西陣織」「川島織物」「龍村美術織物」などの帯は、それだけで数万円の査定になることも。

また、草履・バッグ・ショールなどを含めた“フルセット査定”を依頼すると、まとめ評価として高くなる場合もあります。
着物1枚だけよりも、全体で評価してもらうのがコツです。

● 6. 写真査定やLINE査定を活用する

2025年の買取業界では、スマホで写真を送るだけのオンライン査定が主流になりつつあります。
店舗に持ち込む前におおよその価格が分かるため、複数業者の比較が簡単です。

撮影時のポイント

• 全体の柄が分かるように広げて撮る

• 落款や証紙部分をアップで撮影

• 汚れやシミがある箇所も正直に写す

この段階で「高価買取対象」と判断されれば、後日出張査定に進む流れがスムーズです。

● 7. 買取方法の違いを理解して使い分ける

着物の買取には主に以下の3パターンがあります。

自分の着物の種類や量に応じて、最適な買取方法を選ぶことも大切です。
特に高額査定を狙う場合は、出張買取や店頭査定を利用するとより丁寧な評価を受けられます。

● 8. 「準備・比較・タイミング」で査定額は変わる

高く売るために必要なのは、特別な知識ではありません。

• 複数業者に見積もりを取る

• 証紙・付属品を揃える

• 季節やタイミングを見極める

この3つを意識するだけで、査定額は確実に上がります。
2025年の市場は、過去よりも“正しい評価”がされやすい時代。
大切な着物を手放す前に、少しだけ準備することで満足のいく結果につながるでしょう。

2025年に注目される着物の種類・作家

2025年の着物市場は、「伝統×モダン」「職人技×デザイン性」という二つの軸で大きく動いています。
国内外のバイヤーから注目を集める作家や産地も増え、買取市場でも“作品としての価値”が改めて評価されるようになりました。
ここでは、2025年に特に人気・注目が高まっている着物の種類や作家について詳しく紹介します。

● 1. 大島紬・結城紬・牛首紬など“伝統工芸指定品”の再評価

まず注目すべきは、国指定の伝統工芸品として認められた織物です。
これらは日本の技術の粋を集めた織物として、国内だけでなく海外コレクターにも人気があります。

• 大島紬（鹿児島・奄美）
  　軽くて丈夫、光沢のある艶が特徴。細かな絣柄はまさに職人技の極み。
  　2025年も海外バイヤーからの人気が高く、1枚で数万円〜10万円前後の査定になることも。

• 結城紬（茨城・栃木）
  　手紡ぎ・手織りの最高級紬。糸の柔らかさと軽さが特徴で、重要無形文化財にも指定。
  　証紙付きのものは特に評価が高く、20万円を超える査定も期待できます。

• 牛首紬（石川県）
  　「釘抜き紬」とも呼ばれるほど丈夫な織り。近年はデザイナーコラボも多く、
  　伝統的な質感に現代的な染めを合わせた作品が注目を集めています。

こうした“産地もの”は、証紙があるかどうかが価値の分かれ目。
正しい保管と付属品の有無が、査定額を左右する大きなポイントです。

● 2. 海外でも評価が高い“人間国宝・作家物”の着物

2025年の買取市場では、作家名で価値が決まる時代になりつつあります。
特に以下のような作家は、国内外のコレクターから指名買いされることもあります。

• 志村ふくみ（紬織）
  自然の草木染めによる独自の色彩が魅力。近年は娘・洋子氏との作品も人気。

• 龍村平蔵（帯・織物）
  芸術性の高い文様と独自の織技術で、帯の代名詞的存在。

• 北村武資（羅・組紐）
  精緻な織りと立体的な質感で国際的にも評価が高い。

• 森口華弘・井上萬二・久保田一竹なども根強い人気。

これらの作家物は、美術品としてオークションで扱われることもあり、
状態が良ければ100万円を超える査定になるケースも。
証紙・共箱・落款・購入証明が揃っている場合は必ず提示するようにしましょう。

● 3. 若年層から支持される“モダン古典柄”と“リメイク着物”

2025年は、伝統的な技法を用いながらも現代の感性に合うデザインがトレンド。
「くすみカラー」「抽象柄」「花唐草×幾何学」のようなモダン古典柄が人気を集めています。

また、SNSを通じて若い世代が“リメイク着物”に関心を持ち始めており、
古い小紋や紬をジャケット・ワンピースなどに再利用するブランドも増加。
この流れにより、「状態は完璧でなくても柄が美しい着物」はリメイク素材として高値がつく傾向です。

リユース市場では、こうした「デザイン性の高い古着物」が再評価されており、
アンティーク着物ブームの再来ともいえる盛り上がりを見せています。

● 4. 西陣織・川島織物・龍村織などの“帯の名門ブランド”

2025年は「着物より帯の方が高値」というケースも増えています。
特に西陣織ブランドの袋帯・名古屋帯は、美術的価値が高く、
着物本体よりも高い査定額がつくこともあります。

注目ブランド例

• 川島織物セルコン
  格式高い図案と金銀糸の緻密さで国内最高峰の評価。

• 龍村美術織物
  伝統柄と美術性を融合。海外の収集家からも人気。

• 帯屋捨松・服部織物
  若年層向けのモダンデザインが増加し、リユース市場で需要拡大中。

帯は状態が良ければ1本で3〜5万円前後、名品なら10万円を超えることも。
付属の箱やタグ、織ネームがあると査定額が上がります。

● 5. アンティーク・ヴィンテージ着物の国際的な需要

2025年の買取市場を支えているのは、実は海外バイヤーの存在です。
欧米・アジア圏では「KIMONO＝JAPANESE ART」としての認識が広まり、
特に大正〜昭和初期のアンティーク着物や帯がアートピースとして人気を博しています。

• 鮮やかな紅型風デザイン

• 金箔・刺繍入りの古典模様

• 手描き友禅や絞り染めの一点物

こうした作品は、たとえ汚れがあっても「唯一無二」として価値が認められ、
国内よりも高値で取引される傾向があります。
そのため、リユース業者が海外ルートを持っているかどうかは、高価買取の鍵といえるでしょう。

● 6. 2025年は“伝統×再評価”の年

2025年の着物市場では、伝統工芸の再評価とリメイク需要の拡大がキーワードです。
古いから価値がないのではなく、「どんな作りで、どんな歴史を持っているか」が問われる時代。
職人が時間をかけて織り上げた着物ほど、その価値が見直されています。

また、海外人気の高まりも相まって、証紙付きの伝統工芸品や作家物は今後さらに需要が上がる見込みです。
手元にある着物が「もしかしたら貴重な一点物かもしれない」と感じたら、
ぜひ一度、専門の査定士に相談してみましょう。

買取前にやっておくべき準備と保管のポイント

「せっかくなら少しでも高く売りたい」
着物を買取に出す前にできる準備をすることで、査定額が数千円から数万円も変わることがあります。
2025年の市場では、状態の良し悪しが以前よりも厳しく見られる傾向にあり、**査定前のひと手間が“価値を守る最後の鍵”**といえます。
ここでは、査定前に行うべき準備と、正しい保管方法を具体的に解説します。

● 1. 査定前に確認したい基本チェックリスト

まずは、査定に出す前に確認すべきポイントを整理しましょう。
以下のチェック項目に一つでも当てはまる場合は、事前に対処しておくことで印象がアップします。

査定員が最初に見るのは“第一印象”です。
このチェックリストを意識するだけで、丁寧に扱われた着物として高く評価される傾向があります。

● 2. 風通し・陰干しで湿気と臭いを取る

着物は湿気に弱く、特に梅雨〜夏場はカビの発生リスクが高まります。
査定前に半日〜1日ほど風通しの良い日陰で陰干しをすることで、においと湿気を自然に除去できます。

ただし、直射日光は厳禁。
日差しに当てるとヤケ（色あせ）や縮みの原因になります。
干すときは、畳んだままではなく肩から吊るして形を保つのが理想です。
風通しをしたあとは、完全に乾いてからたとう紙に戻しましょう。

● 3. シミ・汚れは「自己処理せず」専門業者に相談を

「軽い汚れだから自分で拭こう」と思う方も多いですが、
家庭でのクリーニングやしみ抜きは、かえって生地を傷めてしまうことがあります。
特に正絹は非常にデリケートで、少しの摩擦やアルコールでもツヤが失われることがあります。

もし気になる汚れがある場合は、無理に手を加えずそのまま査定に出すか、
着物専門のクリーニング業者（丸洗い・しみ抜き対応）に依頼するのが安全です。

査定員も「無理に手を入れていない着物」は評価しやすく、結果的に良い印象になります。

● 4. 証紙・付属品はすべて揃えておく

証紙はもちろん、帯、帯締め、帯揚げ、草履、バッグなどの付属品を揃えておくと査定がスムーズです。
特に以下のものはまとめて提示することで高評価につながります。

• 産地証紙（大島紬・結城紬など）

• 落款や織印

• 反物のラベル・購入時のタグ

• 共箱・たとう紙・帯の織ネーム

これらは「正規品である証明」となるため、査定員が安心して高値をつけられます。
紛失していても、購入店の領収書や写真など、少しでも情報があるものは一緒に提出しましょう。

● 5. 畳み方・収納方法にも注意

査定前の保管で最も重要なのが「正しい畳み方と収納環境」です。
誤った畳み方をすると折りジワや型崩れがつき、査定の印象が悪くなります。

基本は「袖畳み」と呼ばれる方法で、柄を内側にして折りたたむのがポイント。
柄や金彩部分が外側になると摩擦で色落ちすることがあります。
収納場所は湿気の少ない押入れ上段などが理想で、防虫剤は直接触れないように薄紙を1枚挟みましょう。

また、長期間保管する場合は年に1〜2回、虫干し（陰干し）を行うことで湿気やカビを防げます。

● 6. 写真を撮っておくと査定後トラブル防止に

最近はLINE査定や宅配買取の利用も増えており、
その際は送る前に必ず全体と証紙部分の写真を撮っておくのが安心です。
これにより、査定後の「シミが増えていた」「付属品が足りない」などのトラブルを防ぐことができます。

スマホで構いませんので、

• 全体（柄が見えるように）

• 落款や証紙

• 帯や小物のセット内容
  の3カットを撮影しておくのがおすすめです。

● 7. 査定日までの保管は“通気重視”で

査定日まで日数がある場合は、ビニール袋やプラスチックケースで密閉しないように注意しましょう。
通気性が悪いと湿気がこもり、カビや臭いの原因になります。
特に夏場は、紙製の収納箱＋防湿剤の組み合わせが理想的です。
また、たとう紙が古く黄ばんでいる場合は新品に入れ替えるだけでも印象がアップします。

● 8. “丁寧な準備”が査定士の印象を変える

着物の査定は、状態だけでなく「持ち主がどれだけ丁寧に扱っていたか」も重視されます。
たとう紙を整え、風通しを行い、証紙をまとめる——このような小さな手間が、
査定士の印象を大きく変え、結果として高価買取につながるのです。

2025年の市場では、「状態が良い＝次の人に譲りやすい」ことが価値。
査定前に少しだけ時間をかけて準備することが、“次の持ち主へ美しく渡す”という心構えにもつながります。